また1からこつこつと

最高はひとつじゃないと信じてまたがんばります。

日本語ラップシーンとプログラミング教育シーンが似ているというおはなし。

※このポストは Kichigai-Skack アドベントカレンダー 17日目用の記事になります。みんな計算機科学系の重めな記事書いてるから、箸休め程度にどうぞ。
qiita.com


僕は日本語ラップが好きだ。小学6年生の受験期にKREVAと出会ってから今に至るまで、ずっと好きだ。
僕の青春はKREVAと共にあったと行っても過言ではない。その影響から、日本語ラップシーンをしっかりとdigるようになってからそろそろ5年が経つ。
5年前というと、フリースタイルダンジョンや高校生ラップ選手権のようなイベントもまだできておらず、周りにラップ好きだったりHIPHOPのことがわかる友人などほぼいなかった。

僕が高校3年生の秋に、テレビ朝日フリースタイルダンジョンが放送されはじめた。それを機に日本のHIPHOPシーンはすごく盛り上がってきた。
今まで何も知らなかったような子たちが廊下で「昨日のダンジョン見た?」とか「R-指定ヤバイ」みたいな会話をしているのをよく覚えている。

僕にとってのもう1つの主軸がプログラミング教育である。プログラミングと出会ったのはKREVAと出会う少し前。
でも実際に教育までやろうと思ったのは高1の春なので、日本語ラップシーンをdigりはじめたのとあまり大差ない。
2020年にプログラミング教育が全国すべての小学校で必修になると言われてからこれまで、この界隈はかつてないほどの盛り上がりを見せている。
僕もいろいろな企業や学校・行政とコラボさせてもらう機会をいただき、プログラミング教育の普及推進に微力ながら一役買っているところである。

そんな僕が最近良く思うのは表題のとおり、「日本語ラップシーンとHIPHOPシーンは似ている」ということである。
なにを言っているんだこいつはという目で見られるかもしれないので、あくまでも私見であるということを文字を太にして書き加えておくが、ほんとに似ている部分が多い。
今回の記事はこれについてダラダラと書いてみる。

類似点①:カテゴリー内で見たときのマイナー性

これはどちらをdisっているわけではない。
音楽というカテゴリー全体でみたら、HIPHOPシーンはまだまだ小さいし市場規模も大したことないというのが現状だ。(最近は大きくなってきてはいる)
また、教育というカテゴリー全体でみたら、プログラミング教育シーンはまだまだ小さい。これは相対的な評価ではあるが、市場規模は最近かなり大きくなってきている。
2020年の教育大改革でまずやるべきは英語であると言われる方々は多いが、これはまさにシーンの大きさ重要性を物語っている。

類似点②:地元レペゼン感が強い

全体がそうというわけではないのだけど、プログラミング教育界隈には地元レペゼンしてるプレイヤーが一定数いる。
自分も柏をレペゼンしてるし、石巻とか那須・長野・金沢・大阪・福岡・沖縄などなど全国各地にいらっしゃる。これが結構おもしろい。
R-指定によると、

「レペゼンとは地元にとどまって東京の悪口を言うことじゃない。どこに行っても恥ずかしくない。」

ということらしい。(R-指定 vs CIMA)
【動画】フリースタイルダンジョンR指定vsCIMA 〜般若が登場する!?〜 – HIPHOPは人生を変えてしまう
最近だと地方のプレイヤーが東京(≒全国)で自分たちの実践だったり知見を共有する機会がすごく増えてて、そういうときに「○○(地名)から来ました」っていう自己紹介されると、一人で勝手に「おお、この人はレペゼン○○なんだな」とか思ってる。

類似点③:メジャーとアングラ

メジャーとインディーズ問題はHIPHOP文化とは切っても切れない関係だと思う。いきなりメジャーデビューしたら「あいつはセルアウトした」だの言われる文化怖い。
プログラミング教育界隈にはそんなことはないと思う。(中にはあるかもしれないけど)
ただ、確実にメインストリートを進む人たちとローカルを背負ってやってる人たちとに分けることができる。
上であげたレペゼン感じゃないけど、地元でコツコツと草の根運動的にやられている方々がいるからこそ、いまのこの盛り上がりがある。
自分もアングラ兼メジャーのひとりとして、改めて敬意を表したい。

類似点④:Zeebra さん的ポジション

いまの日本語ラップシーンにおける第一人者は言わずもがなZeebraだ。フリースタイルダンジョンのオーガナイザーであり、自身も伝説的なラッパーである彼の元には多くのラッパーたちが集ってくる。ダンジョンだって、漢さんとか般若さんを引きずり出してくるなんてことはあの人にしかできないだろうし、サイバーエージェントの藤田社長と組んで地上波で放送させるなんてこともあの人にしかできない。とにかく生ける伝説的なポジションにいて、シーン全体を先導する人はとても重要だ。

プログラミング教育業界でいうと、ここはやはり @abee2 さんだと思う。様々なコミュニティの方々から尊敬されていて、コンピュータや教育についての造詣が深く、子どもから大人まで多くの方が慕っている。もちろん自分もその1人。 @abee2 さんヘッズは多い。

類似点⑤:ブームではなく文化に残す。

ダンジョンの名勝負といえばやはり 晋平太 vs 漢 だろう。日本語ラップシーンに大きな衝撃を与えた試合だろうし、その後すべてのモンスターを倒して100万円をゲットしたという意味でもすごい。晋平太と漢の間にはMCバトルを超えた様々な事情があったわけで、それがラップという武器をつかってお互いにぶつかりあう姿はとてもかっこよかった。
その中で漢は

「OK, 俺はブームではなくて文化に残す。」

と晋平太にアンサーをするのだが、これはとても大切なフレーズだと思う。

いまの空前のラップブームはフリースタイルMCバトルが流行っているだけであって、日本語ラップシーンが盛り上がっているわけではない、という見方がある。たしかに、最近の若者はバトルの動画をYouTubeなどでよく見ているし、自分の実感としても今まで興味なかった人もラップ好きになってくれてるなと思う。でも、アーティストとして大切な音源やライブになかなかつながらないというのが現状だろう。次の動画ではRがダンジョンを辞めた理由について語っている。
www.youtube.com

バトルで名を挙げてから音源リリースしたりライブやったりするのがメインストリームであろう。
このままでは、「ラップバトル」という「ブーム」は続いても、「HIPHOP」という文化の発展にはならないのではないだろうか。
そういった懸念がいまのシーンには広がっている。

これは、いまのプログラミング教育シーンにもまったく同じことが言えると思っていて、いまこんなに流行っているのは2020年の学習指導要領改定が発表されて小学校でもプログラミングやる時代がくるぞーってメディアがいろいろと報道した結果なのだと思っている。そこに教育熱心な保護者や、プログラミングやコンピュータが好きな子どもたちが興味をもち、もともと細々とやっていたある意味アングラなプレイヤーたちが大きくしようとがんばっていった結果がいまの現状だ。確かに小学校段階でのプログラミングはようやくスタート地点に立てた。

でも、これはブームではなく文化につながるのだろうか。

あと1, 2年で確実にいまのようなブームは終わる。これは間違いない。そうなったときに、どれだけ影響力を保てるか、どれだけ重要なカテゴリーだと世間や有識者・関係者に思ってもらえているかは考えないといけないことだろう。
Creepy Nuts の「未来予想図」という曲は、ブームが去ったあとのシーンの様子が描かれている。
www.youtube.com

僕たちは、このブームを乗り越えないといけない。ブームが去ることは悪いことばかりではない。去るまでに何ができるか、去ったあとになにをするかを少しでも考えて、自分たちなりの未来予想図を描いておくことが重要だ。
自分たちはプログラミングが子どもたちにとっていいことだと少なからず思っているからこそ、いまこういった活動をしているのだ。
それがたかだかブームが去ったくらいで聞き入れてもらえなくなるというのは、悲しい。

  1. まとめ

類似点はけっこういろいろあると思うし、まったく別ジャンルのシーンの様子をこうやって見られるのはおもしろい。

ブームではなく文化に残す。

漢さん、かっこいいこと言うな。
日めくりカレンダー、来年もだしてくれないかな。
https://www.amazon.co.jp/dp/4864941327/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_VtOnAbR8XV7GD

日本語ラップシーンもプログラミング教育シーンも、それぞれ奥深いしおもしろい人たち多いし、いまホットだから覗いてみていいと思う。

以上、4000字近い駄文でした。